「ほぼ日」は売れ筋を”考えない”自分なりのまとめ

ほぼ日が大切にしているのは、「やりたい」という気持ち、つまり動機なんです。僕はもともとコピーライターで、そのときの動機というのは、表現力を発揮したいとか、お客さんである企業の役に立ちたいとか、いろいろありました。

でも、企業や元請けの広告代理店の事情が優先されて、自分の動機とは重ならなくなるときがあるんです。だから、自分が決裁できる、自分で決められる仕事をやりたいと思って始めたのが、この仕事なんです。

 

「ほぼ日」は売れ筋を”考えない”楠木建が糸井重里に聞く(上) 東洋経済オンライン

自分で決裁できることがモチベーションを高めると、おっしゃっていたのを思い出します。

「お店屋さんごっこ」が嫌いな人はいませんからね。でも売れるものなら何でも売りたい、というわけではなく、僕にとってはTシャツを販売することも、ほぼ日で文章を書くことも、同じことなんです。商品も読み物も、すべてコンテンツ。やりたいことしかしたくない

ほぼ日のショップは究極のセレクトショップという印象がします。

商品開発はけっこう大変でした。開発会議を行いますよね。すると、途中で誰かが必ず、トートバッグのほうがいいんじゃないか、いや肩掛けのほうがいい、なんて言い出すんです。そして放っておくと会議が、「普通のお店に並ぶバッグを作る」方向に進むんです。

議論すると、企画がエッジを失っていくんですね。企画のエッジを守るのは社長の仕事だと、そして、はじめの動機がスタート点であることを忘れてはいけない、と。

こういう商品を作ってほしいとか、この商品をこう改良してほしいというご意見は、なるべく聞かないようにしています

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もちろん、お客さんのご意見は聞きますが、モニターとして意識しすぎると、「あぶはち取らず」になってしまう。だから、意識しすぎないようにしています。アンケートも当てにしすぎるといけません。どうしても「考えるために考えた」アイデアが入りますから。

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「何か言ってごらん」と促されて言うことと、本当に感じていることとは、別なんです。見極めが難しいけれど、本当に感じていることでないと意味がない。

マーケティングは万能でないという話かと思います。潜在顧客から意見を聞いたとしても商品のディテールやテイストをきめるのはプロデューサーであるということですかね。